運行管理者(貨物)
運送業で配置が義務付けられている運行管理者について解説します。運行管理者とはどういった資格なのかをはじめ、業務内容や資格を取得する方法などをまとめているため、運送業への就職・転職を有利に進めたい方は参考にしてください。
運行管理者(貨物)とは
運行管理者(貨物)は、物流倉庫で働くドライバーを管理する国家資格です。運行管理者制度によって車両数に応じた運行管理者の配置が義務付けられており、さらに物流倉庫の管理・マネジメントにおいても運行管理者の存在が必要となります。
運行管理者の業務内容は、ドライバーの監督がメインです。運送業界は過酷な労働実態が問題になっていることから、過労などによる事故の発生を防ぐために、運行管理者が勤務時間や休憩施設の管理、ドライバーの健康状態のチェックなどを行います。
運行管理者になるには
運行管理者の資格を取得する方法は「運行管理者試験に合格する」、もしくは「一定の条件をクリアする」の2つです。それぞれの方法について解説します。
運行管理者試験に合格する
運行管理者になるには、試験に合格するのが一番の近道です。ただ、運行管理者試験は誰でも受験できるわけではなく、次のいずれかの要件を満たしている必要があります。
- (1)実務経験1年以上の方
⾃動⾞運送事業(貨物軽⾃動⾞運送事業を除く)の⽤に供する事業⽤⾃動⾞、または特定第⼆種貨物利⽤運送事業者の事業⽤⾃動⾞の運行管理に関し、1年以上の実務経験がある - (2)基礎講習を修了した、または修了予定の方
国土交通大臣が認定する講習実施機関にて、試験の種類に応じた基礎講習を修了した、または指定の期日までに修了予定の方
一定の条件(実務経験など)をクリアする
運行管理の実務経験が5年以上あって、さらに基礎講習を含む運行管理に関する講習を5回以上受講していれば、決められた書類を提出するだけで運行管理者資格者証を取得できます。ただ、運行管理者資格を持たずに実務経験を積むのは難しいため、運行管理者試験を受験して資格を取得する方がほとんどです。
運行管理者試験(貨物)の試験概要
試験は毎年2回、2月~3月頃と8~9月頃に行われています。2021年度からCBT試験(パソコンを使った試験方式)に移行しており、1か月ほどある試験期間のなかで都合が良い日を選んで受験できます。
令和6年度の場合、第1回の試験期間は令和6年8月3日(土)~9月1日(日)、第2回は令和7年2月中旬から3月中旬にかけて行われる予定です。
CBT試験とは
前述の通り、運行管理者の試験形式は2021年度からCBT試験に変わっています。CBTとはComputer Based Testingの略で、パソコンを使った試験方式です。従来のような問題用紙が配られて、マークシートで解答を塗りつぶす…というスタイルではなく、問題を読むのも解答をするのもパソコンで行います。
運行管理者試験を実施している公益財団法人「運行管理者試験センター」の公式サイトでは、CBT試験の操作を練習できるページが公開されています。とくに普段パソコンを使う機会がない方は、事前に確認・練習しておきましょう。
合格基準
問題は5つの分野(貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、その他運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識および能力を問うもの)に分かれており、計30問出題されます。
試験に合格するためには、以下の2つを満たす必要があります。
- 総得点が全体の60%以上(30問中18問正解)
- 各分野で1問以上(その他運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識および能力を問う分野に関しては2問以上)正解していること
極端な例ですが、30問中26問正解し、総得点が全体の86%以上だったとしても、道路運送車両法の分野で1つも正解していなければ、不合格になってしまいます。
難易度・合格率
令和元年から5年度までの合格率は下記のようになっています。
過去5年間の合格率・合格者数・受験者数
年度 | 合格率 | 合格者数/ 受験者数 | |
---|---|---|---|
令和5年度 第2回 | 34.2% | 7,701人/ 22,493人 | |
令和5年度 第1回 | 33.5% | 8,805人/ 26,293人 | |
令和4年度 第2回 | 34.6% | 8,209人/ 23,759人 | |
令和4年度 第1回 | 38.4% | 11,051人/ 28,804人 | |
令和3年度 第2回 | 32.3% | 9,028人/ 27,982人 | |
令和3年度 第1回 | 29.8% | 10,164人/ 34,164人 | |
令和2年度 第2回 | 43.9% | 14,295人/ 32,575人 | |
令和2年度 第1回 | 30.7% | 12,166人/ 39,630人 | |
令和元年度 第2回 | 中止 | ||
令和元年度 第1回 | 31.7% | 11,584人/ 36,530人 |
合計すると受験者数は272,230人、合格者数は93,003人、合格率は34.16%となります。高くはないものの、非常に難しい試験というわけではありません。